第6章 再会
うるさいぐらいに激しい心臓を落ち着かせながらサーモンピンクのドレスに袖を通す。
ドア越しにレンの気配を感じながら深呼吸を3回したら、やっと掠れた声を出すことが出来た。
「レン……?
どうして、こんなところにいるの?
あなたは一体誰なの?ねぇ、レン……」
いくら呼びかけても返答はなく、痺れを切らした私は試着室を飛び出した。
だけど目の前に広がるのは先ほどと変わらないドレスの海で、レンの姿などどこにもなかった。
今のは夢?幻?
一瞬でもレンに会えたのだから、もっと気の利いたことを言えばよかったのに。
諦めきれずに部屋の扉を開いた私に目を見開いたのは、レンではなくて……リオンだった。
リオンは上から下まで私を見つめた後呟いた。
「……貴方がまさかそのドレスを選ぶとは思いませんでした。
ですが貴方の白い肌に映えて、本当によくお似合いです。
会場中の男性があなたの虜になるでしょう。
……本当は誰……見せたく……ぐらいです」
最後の言葉がよく聞こえず聞き返したけれど、リオンは曖昧に微笑んだだけだった。
何て言ったの……?