第6章 再会
ドレス選びに頭を抱えていた私は、後ろで小さな音がしたことに全く気が付かなかった。
だから後ろからかけられた声に飛び上って振り返った。
「今のユイカにはサーモンピンクが似合う。
前はよく日に焼けていたから、オレンジがよかったけどね」
自分の目に映る人を認識しているものの理解できずに、ただ茫然と立ちすくむ。
眩しいくらいに真っ白なタキシード。胸には盾と2本の剣が重なった紋章。右腕にはサーモンピンクの華やかなドレス。
……この紋章、どこかで……リオンに習ったのに全く思い出せない。
そして何よりも私の心を引きつけたのは、その上の細い首、シャープな顎に彫刻のような美しい顔貌の男性。
……レンだった。
彼はまるで昨日まで一緒にいたかのように自然に続け、肩に手を回してくる。
「どうした?着替えを手伝ってほしい?
こんな所で俺を誘惑するなんて、案外大胆なんだな」
私は一言も発することが出来ず、慌てて彼の手からドレスを奪い試着室へと駆け込んだ。