第6章 再会
朝から父に呼び出されて、「わかっているだろうな」と一言だけ告げられた。
もちろんわかっている。今日の為に、毎日リオンからレッスンを受けてきたんだもの。
そう、今日は隣国から王子たちを招いてのダンスパーティー。私のお披露目の日だ。
隣国の王子たち、もちろん第一王子が一番いいのだろうけれど、誰かに気に入られること。
私に出来るのかな……。
自信はないけど、やらなくちゃ。
私はそのためにここにいるんだから。
「考え事も結構ですが、そんなに唇を結ぶと口紅が塗れませんよ。それにあなたは、笑っている時が一番美しいのですから」
淡々とした声に我に返ると、リップブラシを手にしたリオンの顔が近い。
思わず頬が熱くなった私に、怪訝そうな顔で「頬紅をのせすぎたかな」なんて呟いている。
「リオンは何でも出来るのね。お化粧なんて、普通は女性がするものよ」動揺を悟られないようにわざと意地悪く言うけれど、リオンには全く効果がなかったみたいで涼しい顔だ。
「これは私の趣味ですから。
あぁ、顔が赤いのは私の顔が近いのが原因ですか。男に免疫がないのも困りものですね。第一王子などは女性の扱いに慣れているらしいですからね。一国の王女が遊び相手とならないように、気を付けてください」
なんて諫められてしまった。