第6章 再会
何事もなく、3ヶ月が過ぎた。
四季があるこの国では、木々が緑に色づき始め蕾が今か今かと咲くのを待っている。レンと出会ったころは秋だったのに、半年間で季節も私の周囲も大きく変化した。
あの日、王子たちに傷つけられリオンに助けられてから、彼らはまた私のことを無視し始めた。
といっても会話はないものの、挨拶に返事をするようになったのだから驚きだ。
彼らが時折リオンのことを不安そうに見ているような気がするのは、私の気のせいなのかな……?
私はといえばマナーにダンス、姫としての教養の勉強で毎日が目まぐるしく過ぎていく。子どもの頃からまともな教育を受けたことがない私にはわからないことだらけだけれど、日に日に新しい知識が増えていくのを実感する。
牧場で動物たちと関わるのも大好きだったけれど、勉強させてもらえる事を、喜びに感じていた。
「ユイカ様、今日もよく頑張りましたね」
カップの乗せられたワゴンを押しながら、リオンが柔らかな笑顔で声をかけてきた。
今日は何の紅茶かな。ハーブティかな。
一日の終わり、入浴後に淹れてくれるリオンの飲み物は絶品で、今の私の一番の楽しみ。
心まで温かくなるような芳醇な香りと頭を撫でてくれるリオンの大きな手。
これがあるから頑張れるんだ。