第5章 執事side
ミナト王子の部屋に近づくと、俺の名前を呼ぶ彼女の声が聞こえたような気がした。
続いて何かが倒れるような音が耳に届き、俺は冷静さを失いそうになるのをこらえ、扉をノックする。
「ミナト王子、おられませんか?」
ふて腐れた顔で馬鹿王子たちが部屋を出ていく。
言いたいことは山ほどあったが、それ以上に気になることがある。薄暗い部屋の中に彼女の姿が見つからず、俺はゆっくりと足を踏み入れた。
3歩進んだところで目に飛び込んできたのは、あられもない姿をした彼女だった。俺の足音にすら怯えて、目を伏せて身体を竦ませている。
俺が服を正すと、身体をびくりと強張らせた。
よほど怖い思いをしたのだろう。
どうしてこんなことに……。
俺が目を離したせいだ。
あの王子たちが、ここまでするとは全く想像していなかった自分を殴ってやりたい。
後悔に歯を食いしばるが、彼女にかける言葉は何も出てこない。今の俺が口を開けば、彼女を怯えさせる汚い言葉しか出てこないだろう。
俺は誓う。
もう二度と、彼女をこんな目に合わせないと。
「守れなくてすみませんでした」