第4章 突き刺さる悪意
抵抗しても彼らの力には全くかなわず、ミナト王子に両手首を押さえつけられ、そのまま壁に押し付けられた。
「やめて、くださいっ」
目を逸らしちゃだめだ。。
血が出そうなくらいに唇を噛んでミナト王子を睨みつける。
だけれど彼は鼻で笑うだけだ。
「だいたい本当に僕たちの妹なの?
父上のこと、騙したんじゃないの?」
「この白い肌、栗色の大きな目、肉厚な唇。
まるで男を誘ってるみたいだもんね。本当はこういうこと、して欲しいんだろ?」
馬鹿にしたように耳元で囁いて、マナト王子は胸ポケットから取り出したリボンのようなもので私の両手首を縛りあげる。
「いやっ! やめてっ」
私の言葉なんて耳に入らないとばかりに、二人は私の身体を奥まで引きずっていき、ソファーに放り投げた。
「リオン! 助けて‼ リオン」
この城で唯一助けてくれそうな人の名前を呼ぶ。
お願い、リオン、早く来て。
涙が滲んで歪んだ視界の中、苛立った表情のミナト王子が
「うるさい」と私の口に何かをを詰め込んだ。
苦しい。
声は出ない。喉に何かが当たって咳き込もうとするけれど、それすら叶わない。