第1章 出会い
買い物を済ませ、家に帰ろうとしていると馬の足音が聞こえてきた。
ーーーーーーーー調査兵団だ
はっきり言って、私はそんなものに興味はなかった。
気にせず帰ろうと、調査兵団にむけていた視線を家の方角へ向けようとした時。
彼が……いた。
吸い込まれるような綺麗な瞳。 その表情は固かったが、間違いなく彼はそう。
「エレン…… 」
声をかけたい。だが、私がボーッとしてる間に辺りは人で溢れ、エレンも見失ってしまった。
ただ、私としては嬉しかった。
また、エレンに会えたから。
エレンのことを、少しだけど知ることができた。
エレンが調査兵団であることを知った。
これだけでも私には嬉しかったが、同時にエレンがいつ死んでしまうかわからない不安がのこった。
「ミーティア〜! むむっ、なんか今日のミーティア暗くない? 」
「あ……エマ……。 いやー、ちょっと考え事してただけだよ。そんなに暗く見えたかな? 」
彼女はエマ。
幼い頃からの付き合いで、こういう私の異変にとても敏感だった。
エマの存在はとっても大きく、いつも助けられている。
「なんかすっごく深刻な顔してたんだ。おかあさんと喧嘩した? 」
茶化すエマ。こういうのも、昔から変わらない。
「そんなわけないよ。私がお母さんと喧嘩するなんてエマもおかしいと思わないの? 」
そう、私と母は仲が良いと近所で羨ましがられている。
「だよね〜、こんないい子ちゃんがけんかなんてしないか! 」
「当たり前。ちょっと予定より帰る時間遅くなってるから、じゃあね。」
少しずつ暗くなってきている。
私はエマの「またね」というこえに手を振って、早足で家に向かった。