第1章 転校生
あぁ、そういうことか。
杏奈ちゃん知らないんだもんな。言っておくか。
「大丈夫だよ。杏奈ちゃん、僕らのクラスって男女仲が悪いんだよ。だから、あんまり男子とは話さない方がいいかも…。」
「え?なんでなん?」
ちょっと食い気味に突っ込んでくる杏奈ちゃん。
「なんで周りに合わせて過ごさなあかんの?ウチはそんなことしたない。みんなが仲良いクラスがええな。」
僕は、杏奈ちゃんの言葉に呆気にとられていた。
杏奈ちゃんの言っていることは正しいのだが、こんな発想するやつはクラスにはいないだろう。
「それに…」
「それに?」
「光輝君とも仲良ぅなりたいでな。」
そういった杏奈ちゃんの顔は心なしか赤くなっていた。
「そうだね。僕も杏奈ちゃんと仲良くなりたい!2人であのクラスを変えよう!ね?」
「そうやね。一緒にがんばろなぁ!」
そう言って、僕と杏奈ちゃんは教室に戻った。
ガラッ。
教室のドアを開けると、
そこには、女子がいた。
「光輝君。杏奈ちゃんの案内なら、私たちがするわ。男子は引っ込んでて。」
思った通りだ。
「え?ウチ、真由華ちゃんたちにお願いしてへんよ?ウチは光輝君に頼んだんやよな?」
「あ、うん。」