第1章 繋がる糸
それからの日々はとても充実した時間を過ごし、海燕とともに私は着々と修行の精度を高めていった。
今では始解状態の華龍を使いこなし、技も増え、華龍との心の距離も更に近くなっていき、精神世界で会う時には華龍のスキンシップが日に日に激しさを増していた。
(うーん………華龍の触り方が…何か………厭らしい気がする///)
先程まで精神世界で彼と通じていたが、その時の華龍は隙があれば着物の袷に手を差し込もうと狙っていたようであり、日々華龍の"男"を意識させる態度と発言に困惑していたが、そんなことを相談できるのは夜一ぐらいで………
昨夕、夜一に話をしたところ、ひどく愉快そうに口許を緩ませながら、
「何処におってもお主は男を魅了せずにはいられんのじゃな。」
と言われてしまったのだった。
___そして、試験まで1月を切ったある日、私は浦原とともに彼と夜一の秘密の特訓場である地下空間にて、始解状態での修行を行っていた。
浦原「………っと!青蘭さんっそろそろ、お昼休憩にしましょうかね♪」
浦原の言葉に笑顔で頷きを返すと、同じように彼もニカッと笑みを返してくれる。浦原はすわりやすそうな岩場に腰を下ろすと、自分のすぐ隣のスペースをとんとんと軽く叩き、私を促している。
そして私がそれに従い浦原の隣に腰を下ろすととても満足気に笑う姿に、思わず"可愛いな"なんて感じてしまったわけで。
「今日は約束通り、喜助さんのご要望に応えて"おにぎり"作ってきたよ♪………はい、どーぞ?」
二人分用意していた包みの内の一つを、浦原の手に乗せると余程嬉しかったのか、口許を弛ませ目を潤ませながらおにぎりの入った包みを凝視している浦原。
浦原「~~~~~っ!あ~~何かアタシこーゆーの憧れてたんスよ。……ヤバイ。嬉しすぎて泣けてきたッス。」
「えっそ、そんなに嬉しかったの?……ふふ、じゃあ早起きして作った甲斐があったわね。喜んでもらえて私も嬉しい。」
そんな浦原の姿にくすくすと小さく笑っていると、いつのまにか彼の視線は包みから自分に移っていて、気がついた時には私の体は彼の腕の中に包まれていた。
浦原「あっあっ貴女って人はぁぁあっ!!どんだけアタシの心を掻き乱すんすかっ!!全く…………悪い子ッスね。青蘭さんは。」