第1章 繋がる糸
時は遡り____
未だ少女は自らの行く末の先にあるものに気づくはずもなく日々を過ごしている。
彼女の美しさは周囲を惑わし、
その凛とした強さは周囲を酔心させる。
知らず知らずに動いていく歯車__
少女の眼には何が映る___?
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白鳥家、当主。
それが、生まれてすぐについた私の肩書き。
私の父は、由緒正しき貴族のお家柄の死神で、私が生まれる少し前に虚によって殺された。
そして、母は私を産んだ後、しばらくしてから病に侵され床に臥せてしまった。
いつも一人でいる私を心配した母は、同じ貴族の四楓院家の女当主に、私を気遣うよう頼み込んだ。
「こんにちは!夜一さんっ」
私はいつものように四楓院の家へ遊びに来ていた。
目の前には胡座をかき、お茶をすする美しい女当主、
夜一がいた。
夜一「おー青蘭!ぬしが来るのを待っていたぞ。今日は何して遊ぶかの?」
夜一は嬉々として立ち上がり私に近づく。
それを見た夜一さんの配下の人たちは慌て出す。
配下「よ、夜一様!まだ、お仕事が残っております…!どうか、お戻りくださいませっ!」
夜一は騒ぐ配下の人たちを一瞥すると、にかっと笑い、
あとは任せた! と大声で言い、青蘭を連れて瞬歩にてその場を離れた。
その場に残された配下の人たちはみな肩を落とし、ため息をついていた。
夜一に連れられやって来たのは大きな門構えの家。
夜一「さて……ヤツはいるかの?」
「ここって…朽木家のお家だよね?じじ様に何か用でも??」
意図が分からず夜一の顔を覗き込むと、夜一はニヤリと笑い私の肩を抱いた。
夜一「爺様ではない。孫のほうじゃ。…もしかして.お主、会ったことないのか?」
お孫さん………?
確か、私と同じ年端くらいの子がいると話しは聞いたことがある。
夜一「まぁ、見とれ。」
そういうと夜一はヒョイと塀を登り、中へ入った。
私もあわてて塀を登り、彼女の後を追う。