第15章 Story14“星空の下の決意”
清正の着物を掴み、胸に顔を埋める。
「…彩芽?」
甘えるようにすり寄る彩芽の様子に清正は戸惑ってしまう。
「きよまさ、あったかいね…」
「……///!?」
心臓がうるさいくらいに鳴り、理性が飛んでしまいそうになる。
(今…良い雰囲気だよな?)
ゴクリと生唾を飲み込み、この機を逃すまいと自分の想いを彩芽に伝える。
「…初めてお前を上田で見た時から、俺はずっと…!!」
「すーーすー…」
聞こえてくる、小さな寝息。
「嘘だろ…」
顔を覗き込めばなんて愛らしい寝顔なのだろう。
「この場面で寝るか…普通……」
「おい」
「…三成」
彩芽が心配で様子を見に来た男がもう一人。
目の前の状況を見て眉間に皺を寄せている。
仕事をしている時よりももっとだ。
「そんな強い酒を彩芽に飲ませてどうする気だ」
「どうもしねぇよ…話していたら急に寝ちまった」
「ともかく、このままでは風邪を引く」
そう言って三成は清正から彩芽を引き剥がそうとしたが、
「んん…やぁ………」
艶かしい声と共に更に清正にしがみついて離れない。
「「………///」」
赤面し合う二人だったが。すぐにまた睨み合う。
「いい加減離れたらどうだ」
「しがみついてんだから仕方ねぇだろ」
「起こせば良いのだよ」
「…起こすなよ」
「「…………」」
嫉妬と独占欲が廊下を渦巻く。
三成は大きく溜め息を吐いた。
「なら俺も此処で飲む」
「邪魔だ」
「構うな」
彩芽を挟むように座り、三成は彩芽の頭を撫でた。
「みつ、なり…?」
「彩芽?」
するりと清正から離れると彩芽は三成の肩に頭を乗せて、また眠ってしまう。
「…俺の方が良いみたいだが?」
「いや…どうだかな」
三成に反論するように清正が言う。
その左手を彩芽はしっかりと握っていた。
「「…………」」
「…飲むか?」
「貰おう…」
その様子を陰からねねが見守っていた。
「ふふ…やっぱりこうでなくっちゃねぇ」
雲もすっかり晴れ月の光が三人を照らす。
「月見酒も悪くねぇか…」
「…同感だ」
宴会の夜は静かに更けていった。
忙しい日常から離れたような穏やかな夜。