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戦国四重奏 (戦国無双3)

第14章 story13“せせらぎと心音”


「上田に帰る?」

「はい」

彩芽が目覚めてしばらくしたある日の朝、幸村は皆が集まっている所で告げた。

「元々、大坂の祭りのためにこちらへ来ていたので…そろそろ帰ろうかと思います」

幸村がちらりと 彩芽を見ると、彩芽は口を結んで小さく俯いていた。

「…… 彩芽殿」

「………」

「今日、出掛けませんか?」

「……!」

突然の幸村からの誘いに 彩芽は驚いて目を見開いた。
そしてすぐにコクリと頷いた。

頷きを確認すると安心したように幸村は微笑む。



朝食後、幸村は自分の馬を引き門の所で 彩芽を待っていた。

「幸村…」

「!……彩芽殿、その召し物は…」

「…うん、上田に初めて来た日に用意してもらった着物だよ」

藍色に藤の刺繍。
彩芽がとても大切にしている着物だった。

幸村は 彩芽を馬へ引き上げると軽快に走らせた。
いきついた賑やかな城下ではなく静かな小川。

「綺麗な小川…流れる音を聞いているだけで涼めるね」

「そうですね」

はしゃぐ姿は上田にいる頃より明るさが増した気がする。
きっと大坂で良くして貰っているからなんだろう。

幸村は小さく微笑んだ。
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