第1章 story 1 “戦場に咲く一輪の華”
襖がそっと開く。
「幸村様、彩芽様の御召し替えが終わりました、どうぞお入りください」
そう言うと女中達は彩芽の部屋を後にした。
「……………」
「…あの、幸村様…?」
部屋に入るなり固まってしまった幸村に彩芽は不安そうに尋ねた。
「…やはり、おかしいでしょうか……私みたいな者が、こんな格好………」
白い肌を引き立たせるような藍色の着物には藤の花の刺繍が施されていた。
漆黒の髪は綺麗に束ねられ刺繍と同じ、藤色のリボンで飾られていた。
「あの……」
「………………」
やっぱり脱ぎますと、彩芽が着物に手を掛けるのを見て幸村は我に返る。
「ち、違いますっ!////脱がないで下さいっ!////」
彩芽の腕を掴み着物を脱ごうとする彩芽を制する。
「…あまりに、綺麗で」
「……………え?」
「あまりに、綺麗だったので言葉が出ませんでした…////」
「…幸村、様………///」
急に恥ずかしくなり、彩芽は俯いた。
そっと顔を上げ、幸村の顔を見上げると幸村は照れたように微笑んでいた。