• テキストサイズ

戦国四重奏 (戦国無双3)

第12章 story12“感じるぬくもり”


目を開けると見慣れた天井が見えた。
それと共に 彩芽の瞳から涙が一筋、流れ落ちた。

ゆっくりと上体を起こした 彩芽を清正がいち早く抱き締めた。

「き…清正…?」

「どれだけ心配掛けんだよ…馬鹿……」

ぎゅうっと音が聞こえそうなほど、強く抱き締める。

「……ごめんね、清正」

小さく謝る 彩芽の言葉を聞いて清正はそっと腕を離す。
視界が開け、 彩芽は部屋を見渡した。


「心配したよ… 彩芽…でも良かった」

「おねね様…」

「体は…痛むところはないか?」

「三成…うん、痛くないよ」

壊れ物に触れるかの様にそっと頬に触れる三成。
彩芽は大丈夫と、三成に笑い掛ける。

三成と言葉を交わす 彩芽の様子を幸村はじっと見つめていた。
自分も話したい気持ちはあるのに、言葉が出てこない。

視線を感じた 彩芽は幸村に目を向け口を開く。


「……幸村…」

少し震えた声だった。



「私…ずっと幸村に謝りたかったの……!あんなに上田でお世話になっていたのに、何も言わずに別れた事…ずっと後悔してた」

「 彩芽、殿…」

布団の上で 彩芽はぐっと自分の手を握り締めた。

「ホントに…ホントにごめんなさい、幸村……」

彩芽の目には一杯に涙が溜まっていた。
その涙が溢れないように、 彩芽は唇を噛みしめる。

「……っ!!」

「ゆ、きむら……」

涙を見て幸村は堪らず 彩芽を抱き締めた。

「私こそ、すみません… 彩芽殿の声に気付いていたのに」

「いいの、こうしてまた話せたんだから…」

懐かしい幸村の匂い。
胸がきゅうっと締め付けられる気持ちだった。


/ 105ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp