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戦国四重奏 (戦国無双3)

第3章 story3“新しい出逢い”


「真田の家の者か?」

銀髪の男が彩芽に話し掛ける。
低くて通る声だった。

「……っはい!」

一呼吸遅れて彩芽は慌てて返事をした。

「俺は豊臣家家臣、加藤清正だ。昌幸公にお目通り願いたい」

「…………」

まさか

でも、五日後って昌幸様は…


カラン…
彩芽は持っていた竹箒を落としてしまう。

その音で我に変える。

「……おい?」

清正は不思議そうに彩芽を見ていた。

「…っ!すいません!只今ご案内致します…!」

彩芽と清正は昌幸の部屋へと向かう。その間、彩芽はずっと同じ事を考えていた。


(この方が、私の迎えの方かもしれない…)


昌幸の部屋の前に着くと彩芽は静かに部屋の中へ呼び掛けた。

「昌幸様、彩芽です。…加藤清正様がいらっしゃいました、失礼致します」

「あぁ、入りなさい」


静かに襖を開ける。


「加藤殿、遠いところよくいらしてくれた、感謝致しますぞ」

「いえ、問題ありません…昌幸公、例の女性は…もしかして」

清正はチラリと彩芽の方を見た。
彩芽は終始下を向いていた。

「あぁ、彩芽、挨拶なさい」

昌幸に促され、彩芽は意を決したように清正を真っ直ぐに見つめ、頭を下げた。
初めてしっかりと顔を見た清正は彩芽の綺麗な顔立ちに一瞬胸が高鳴った。

「真田昌幸様のご厚意により此処に置いて頂いております、彩芽と申します。此度は私の身元を引き受けて頂ける事、誠に感謝致します。どうぞ宜しくお願い致します」

彩芽は一言でそう言い切ると真っ直ぐに清正の顔を見つめた。

もう、覚悟は出来ている。
そんな顔だった。

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