第22章 story21“一瞬先の未来へ”
「私も…貴女が大切です、失う事がとても怖いと思ってしまう程に…」
「私、幸村を支えられるように強くなる…すぐ泣くのも…直、します…//」
「……私は泣いている彩芽殿も可愛いと思っていますよ?」
「///!!?私真面目に言ってるのに…!」
恥ずかしくなった彩芽は幸村の胸板をトンと叩いた。
「彩芽殿、上田に着いたら告げようと思っていたのですが…今伝えさせて下さい」
「……?」
幸村の真剣な顔に彩芽の鼓動はとても速くなった。
「彩芽殿、私と…家族になって頂けませんか」
「!!!」
「貴女と家族になりたい」
「……………っ」
「彩芽殿…?」
「……っ」
「彩芽…顔を見せて…」
ゆっくりと顔を上げた彩芽の瞳は涙で溢れていた。
「……幸村、私っ…!私なんかで…!真田の家は…!」
大名の子でも何でもない、身寄りのない自分が真田の家に入るなど許されるのだろうか。
「貴女がいるから私は強くなれるのです」
「…幸村」
「私の帰る場所は…貴女であって欲しいのです」
涙が次から次へと頬を伝う。
先程、幸村にすぐに泣かないと告げたばかりだと言うのに。
止める事が出来なかった。
「彩芽殿、もう一度言います」
幸村はそっと彩芽の肩に手を置き、膝を屈めて目線を合わせた。
「私と家族になって下さい」
「…………はいっ…!」
自然と重なる唇からお互いの想いが溢れてくるようだった。
世は乱世、今の平穏も長くは続かないものなのかも知れない。
けれど、だからこそ時を大切に生きる。
この先にどんな苦難があろうとも、
どんな選択を迫られようとも、
繋いだ心は離さない。
「貴女を守る、真田の名に懸けて」
終。
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