第10章 試練
「宏光、どういうこと?」
私はベッドから起き上がりカーテンを開けた。
宏光は私を見たけどすぐに目を逸らされた。
「先生、哀川さんいますけど?」
宏光は先生に言った。
哀川さんって何で瑠奈って呼んでくれないの?
「宏光、どうしたの何か宏光が遠くなってるような感じがするよ?」
「ホント・・面白くないわね・・・。」
先生は急に話し出した。
「もういいわよ。宏光は返してあげる。」
「美弥!」
保健室の扉が開いた。そこには見知らぬ男性が立っていた。
美弥というのは先生の名前だ。
「兄貴!」
宏光は声を出した。兄貴?・・ってことは。
「宏光のお兄さん?」
「そうだよ。ふーん、宏光が言ってた通りだよ。」
「どういうことですか?」
「宏光、いつも哀川さんのこと話してたんだよ。かわいいとか言ってさ。」
宏光が?私の話?
「兄貴、そんなこと言うなよ。」
「別にいいだろ。それより美弥に用事があったんだよ。」
「私に?」
「お前と別れたのは俺ヨーロッパの方に来週から行かなければならないんだよ。それを言ったらお前先生やめるだろ。」
「・・・。」
「だから別れた。」
先生は殴った。