第8章 思い出せない・・そして現実
「瑠奈ちゃん、大丈夫?」
男が聞いてきた。
「誰?」
「北山宏光だよ!」
「誰?」
本当に誰?思い出そうとすると頭がものすごく痛い。
「あのさ、俺の彼女に何か用?」
太輔が言った。
「太輔・・・怖い。」
「瑠奈は寝ときな。」
「うん。」
30分ぐらいして私は目を覚ました。
宏光と言った男はまだいる。
「瑠奈を返してくれよな。お願いだ。」
私は目をつぶって聞いていた。
「瑠奈は物じゃないんだ。」
たぶんこの声は太輔の方だ。
「お願いだ。俺は瑠奈が好きなんだよ。」
こっちは北山くんのほうだ。
「瑠奈は泣いてたんだよ。宏光のこと好きになったこと辛いと思うぞ!」
「俺も辛いんだよ。」
「そんなこと知るかよ。瑠奈は辛くてもいつも言わないのに、あの時は・・・泣いてたんだよ。」
「太輔、私は・・太輔だけだよ。」
私は起きて太輔の手を握った。