第12章 おいてきた傘
団長のお気に入りの女を船へ連れ込むと、女はキョロキョロと辺りを見回して震えている。
まぁ、いきなりこんなことになったんだから無理もないか
しかし、あの団長がこんな弱そうな地球産の女を気にするなんて、おじさんびっくりしちまったぜ。
「おい、腕見してみろ」
「え?」
「腕だ、さっき団長にひび入れられてただろう。」
「……」
すると女は黙って右手を差し出した
「震えてるぜ、安心しろ俺ァ何にもしねぇよ」
「すみません」
「なぜ謝る」
「怖がってしまったので」
「そうか」
こりゃぁまいったな、確かに変な女だ
少しの沈黙のあと、女が口を開く
「あの人は、なぜ神楽ちゃんを知っているんですか」
「あーあんまり団長の前では言わないほうがいいんだがな、あいつらは兄弟なんだよ。まぁ団長はもう妹だとは思ってねぇみてぇだがな」
「そう…なんですか」
「おう」
湿布を貼り包帯を巻いてやる。時々顔を歪ませるがそんなに痛いものかね
団長と妹の話をした後、何があったんだろう?と考えているであろう女は顔に出やすいタイプだろう
「…っ」
「いてぇか」
「いえ」
「なぜ強がる」
おじさん、思わず笑っちまったじゃねぇか
明らかに痛そうにしてるくせにおもしれぇやつだ。