第12章 おいてきた傘
「え?」
私にさせてくれないんですか?
「なにか不満?なにも言えないよりマシだろ?」
「……はい」
「お嬢ちゃん団長に気に入られたのが運の尽きよ、無事を祈るぜ、さぁ行くか」
こそっと大きな男は言うと、私を連れてどこかへ向かいます。
振り向いてみても誰もいなくて、なんだか怖くなりました。
視界に入ってないだけかもしれないけれど
『たまに、帰ってきてもいいんですか?』
『いいよ。たまに。ならね』
次はいつ、みなさんに会えるのでしょう。
別れも言えずに、さよならです。
ヒビのいれられた右腕を抑えながら、慣れない道をふらりふらりと歩きます、気を使ってくれてるのか大きな男の人はゆっくり歩いてくれました。
悪い人だけど、いい人。
なんでしょうか?