第2章 雨の日に傘もささない
「ただいま」
家につき小さな声でつぶやいた
ばたばたばたと誰かが走ってくる音がします
「さん!どこに…行かれてたのですか…!!それにどうしたのですか!びしょびしょではありませんか!」
私の迎えのために出てくれたお手伝いの久野瀬さんは私の肩を掴んで涙声でそう言いました。
心配かけちゃいましたよね、わかっていたけどごめんなさい。
「あはは、いきなり雨が降ってきてね?びっくりしちゃいました」
「…、あなたは体が弱いんですよ?わかっているでしょう?」
「はい…ごめんなさい」
「こんな無茶…もうしてはなりませんよ」
優しく言ってくれた久野瀬さんはさあ、早く温まりましょう。と付け加えると、私をお風呂場に連れて行きゆっくり温まってくださいね。と笑いかけ脱衣所を出て行った
私は服を脱ぐとお風呂に入った
「久野瀬さんごめんね」
小さくつぶやいたつもりがお風呂だからか大きく聞こえた
反省と楽しかったなという気持ちが矛盾しててなんだか変な気持ちです。
「…」
だけど、楽しかったな
「また、行きたいな」
外は疲れるけれど、なんだか部屋にいるよりも、息がうまく出来ている気がしたから
きっとたくさん迷惑をかけているけど、自分で歩けていることも嬉しいし、もっと外で呼吸をしたい。
早く、自由になりたい、元気になりたい。
あれ?もう治らないんでしたっけ?
まぁいいや、治らなくてもまた外へ出ればいいです
次はいつになるでしょう、きっと当分は我慢しなくてはなりませんね。そんなことを思いながら私は頭の左に感じる違和感に目を閉じた。