第11章 傘の下の男の子
「まさか、団長の妹さんに合うなんてな」
「あぁ、そうだね」
阿伏兎が昨日の話をしているけど、俺には興味がないや
でもアイツ、女のことを聞いた時に
一瞬顔を変えた。なにかきがかりがあるのかな
まあ、別にいいけど
今日もあの女を探している。
今は江戸から少し離れたところに来ている。
そろそろ見つからないとあの女見つけたら殺しちゃうかも
「今日中には見つかってくれりゃあいいな」
「そうだね、そろそろ限界だよ」
「手分けするか?昼にここに集合でどうだ?」
「それもいいね、じゃぁまたあとで」
「おう」
そう言うと阿伏兎は去っていった。
早く、見つかるといいな
最初のうちは探していたけれど、
だんだん面倒くさくなって、少し木の下で休むことにした。
「はぁ…」
なんでこんなにムキになってるんだろ。俺はため息をついた。自分でも分からないんだ
「はぁ…はぁ…っ」
後ろで誰かの足音と洗い息がきこえる。
誰だろう
こっちに近づいてくる。
「…神楽ちゃん、待たせてごめんね?」
…神楽?
神楽の名前を呼んで俺の傘を覗いてきたそいつは、
俺の探していた女だった。