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君の瞳に映る傘【神威】

第11章 傘の下の男の子


久野瀬さんはまったく目をあけませんでした。
最初の日は開いたのになぜでしょう。
二時間くらいでしょうか、目を開けない久野瀬さんに、銀時さんたちのことを話しました。
銀時さんもまたせているし、今日はこのへんで帰ることにします。と手を握り病室を後にしました。

病院の外にでると銀時さんたちの姿はありませんでした。
近くに公園があったから、そこへ行っているのかも、と
私は公園へ足を運ばせました。

ちゃんと、端を歩くように意識して。

公園から笑い声が聞こえます。
きっとここにいるはず、そんな時見えたのは公園ではなく
私の真正面の木の下にある、見覚えのある傘でした。

「神楽ちゃん?」

公園を視界に入れる前に映ったそれは
私の体を動かします

「はぁ…はぁ」

やっとつきました、なんだか遠かった気がします。

木の下にすわっている神楽ちゃんは動きません。
何をしているのでしょう

「…神楽ちゃん、待たせてごめんね?」

「…」

「…!あ、ま、間違えましたすみません…」

しゃがんで傘の中を覗くと
そこにはニコニコと笑ったオレンジ色の髪の毛の男の人がいました。
この人…前に何処かで

「アンタ…神楽を知っているのかい?」

「…え?」

ニヤッと、彼は笑って言いました。
神楽ちゃんを知っているんでしょうか?

「…」

「し、失礼します」

そう言って立ち上がると
足首に違和感がありました。

「まちなよ、アンタ、どれだけ探したと思ってるの」

「え?」

目線を向けると足首には彼の手があって
包帯をしている…?
私を探してた…ってどういうことでしょうか

「まさか神楽を知ってたとはね、アイツの反応がおかしかったのはアンタに心当たりがあったから。か」

「なんのこと…ですか?」

立ち上がり私を見下ろす彼は
背が高くて、まっすぐと目を見ると

「…」

「…あ」

神楽ちゃんにそっくりな綺麗な青い目をしていました。
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