第7章 降らぬ先の傘
静かな部屋で、久野瀬さんが目を開けるのを待ちます。
はやく、笑いかけて欲しいです
そうすると笑顔の久野瀬さんの顔が浮かんで、また昨日の事を後悔しました。
これ以上、もうなにも起こすまい、ずっと部屋にいよう、心配をかけないように、そう誓った
「...っ」
久野瀬さんのまつ毛がふるふると揺れています
「っ…久野瀬さん!!」
私は手を強く握り前のめりになり久野瀬さんに顔を近付け話しかけました
心なしか笑っているように見えます
しゃべれないのでしょうか?涙を流しているようです
「ごめんなさい…私が勝手な事をしたから…」
初めて見る久野瀬さんの涙に、わたしもまた涙が溢れます
すると久野瀬さんは首を横に振りました。
あなたのせいじゃない。と言ってくれているのでしょうか?
その優しさに、また涙が流れました。
そのあとずっと手を握って久野瀬さんをみていると、久野瀬さんは目を閉じて眠ってしまいました。
なんだか私まで眠ってしまいそうです…
久しぶりに寝ている人をみた気がします。
部屋では一人でしたし、お泊まりなんてした事ないし、
これからもそばにいてください。
目を閉じて祈りました。