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君の瞳に映る傘【神威】

第4章 雨だから傘をさす


「久野瀬さん」

リビング扉を開けると久野瀬さんの姿がありません
いつもなら笑顔でおはようございますと言ってくれるのに
電気はついてるし、どこかにいるはずなんだけど

「…?久野瀬さん…?」

しーん。と
孤独感が私を包んだ

「どこ、いったのかな」

かいもの?トイレ?それともまだ寝てるんですかね?

トイレをノックしてみても
久野瀬さんの部屋へ行ってみても
お風呂にもお庭にもどこにも姿は見えません。

「…?」

不安がすごいです
久野瀬さんがいないなんて私はどうすればいいのでしょう?
昨日勝手に家を出たりしたから私が嫌いになったのでしょうか?

「…っ」

気がつけば涙が流れ
家中を歩きまわった足は崩れ落ちた。

どうしよう
どうしよう

私は一人じゃ何もできないのに
寂しい
あんなこと、しなければよかった。と
後悔でいっぱいになりました

リリりりりりりりりん

「!!」

突然電話がなった

頭に響く黒電話の音に顔を歪め
疲れた足を持ち上げる

「も、もしもし…」

電話なんて何時ぶりに出たのだろうか
緊張する

「もしもし!さんですか?!」

「え………は…い」

電話の相手は何故か私の名前を知っていた

「あなたのお手伝いさんの久野瀬さんが倒れまして、ただいま緊急手術をしております。久野瀬さんがあなたに電話をしてほしいとのことで、至急連絡いたしました。」

「…」

そんな…

「もしもし?」

「…」

久野瀬さんが…
涙は続けて流れ止まらない

「もしもし」

「あ、の…どこの、病院ですか?」

「木寄(きより)病院です家からは遠いかと思われます。大きな病院がウチだったので…」

「…」

「お体が悪いとお聞きしておりまして、久野瀬さんからは危ないからこないで家にいてほしいと聞いております。」

「でも…」

「一人で寂しい思いをさせてごめんなさいと言っておられましたよ」

「そんな……私行きたいです…!」

「ですが…危な…」

私はそれだけ言うと受話器を置き家を飛び出した。
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