第4章 キッドとの出会い
「いてて‼︎ 分かっ…分かった‼︎ 返すから‼︎」
「早く返せ」
ギロリとキッドを睨んだ。
軽く涙目になっている。
よっぽどイラストを見られたことが嫌だったのか…。
「…っ‼︎」
が、キッドはそれを怖いとは思わず、
(……か、可愛い…)
…と、胸を高鳴らせたのであった。
スケッチブックを真鈴に手渡すと、彼女はそれをぶん取るように、乱暴に受け取った。
「…あんたが初めてよ、ミシュア以外に私の絵見せたの」
「へェ…そうか。でも上手ェな、お前…俺初めて絵見て感動したぜ」
「か、感動するまでもないのに、こ、こんなの」
「…。」
褒められて嬉しかったのか、頰を赤らめてそっぽを向かれた。
…きゅうん、とまたキッドの心臓が締め付けられたのであった。
(やべェな……この感じ、初めてだ…)
ちなみにキッド、強面であるのと、性格からして、女子から避けられていた。
なので、彼女はいないし、出来たこともない。
好きな子も作ったことがない。
(……気になるな、この女)
「…ね、いつまでココにいるの。」
「あァ、忘れ物取りにきただけだからすぐ出る」
キッドはそう言うと、自分の机の中を漁りだした。
次々とくしゃくしゃになったプリントが大量に出てくる。
「あんた…机ん中片付けなさいよ…」
「あ”ァ? 机ん中片付けて何になる。すぐ汚くなるってのに」
「……ノーコメント」
「…。…あ、あった」
先ほどから取り出しているくしゃくしゃのプリントと違いないプリントを取り出した。
「じゃあな、真鈴。」
「‼︎ 私の名前、知ってたんだ。言ってなかったから知らないと思ってた。」
「……いつもトラファルガーの横にいるから…分かる」
(今思えばこいつ…いつもトラファルガーの横にいるよな……付き合ってんのか…?)
ズキ、と心に痛みが走る。
(…って、どうでもいいだろうが‼︎ こいつが誰と付き合っていようと…)
ズキズキ、と心が何かに抉られるような感じがした。
「キッド?」
「‼︎ っ、な、なんでもねェよ‼︎ じゃあな‼︎」
「は? あ、ちょ…」
キッドは教室を飛び出していった。
「……騒がしい奴だな、キッド」
(悪い喧嘩野郎なのか…優しいのか…騒がしいのか…分からない奴だ)
真鈴はふぅ、とため息をついた。