第4章 キッドとの出会い
…約1ヶ月前のお昼休み。
真鈴はミシュアと裏庭に来ていた。
裏庭は草木が生い茂っているので、来る人は少ない。
だが、自然がいっぱいなので、真鈴が好きな場所の一つだ。
事は昼食を食べ終わり、ガールズトークに花を咲かせていた時だった。
「なァ、そこの女共」
『‼︎』
「ココ、じきに危なくなるぜ。…早く退いた方が身のためだ」
キッドが話し掛けてきたのだ。
「えーと…あなた、確か、同じクラスのユースタス君よね?」
ミシュアは外見からして怖そうなこの男に堂々と話し掛けた。
「あァ。そんなことより、さっさとココから出てけ」
「…納得いかないんだけど。ちゃんと説明してよ。」
キッドの言い分に納得がいかず、真鈴も言い返した。
「説明する時間なんてねェ‼︎ 早く行け‼︎」
キッドは声を上げた。
「声が聞こえた、こっちだ‼︎」
「‼︎ …っち、気づかれたか。」
「ユースタス君? 」
「早く逃げろ‼︎」
「わっ⁉︎」
「きゃっ⁉︎」
キッドは2人を肩に担ぎ、校舎裏へ駆け込んだ。
「…今糞野郎共に喧嘩売られてるところなんだよ。巻き添え食らうっつてんのに…」
「そーだったの…ごめんなさい」
「お前が謝る理由がねェよ、ミシュア。」
「‼︎ 私の名前…」
「知ってるさ。同じクラスだから」
「…意外だね」
「あの……下ろして下さい」
「あ、すまねェ」
2人を地面に下ろした。
「ありがとうございます」
お礼を言った真鈴の顔を見て、キッドが固まった。
「ユースタス君? おーい」
「…おい、ユースタス、聞いてんの?」
「…っ、な、なんでもねェ‼︎ …じゃあな」
顔が赤くなっていたのは気のせいだろう…か。
キッドは元来た道を走っていった。
そして、怒声と喚き声が聞こえてきた。
「…ねェ、ミシュア」
「んー? なぁに、リンリンちゃん」
「アレ…止めてた方がよかったのかな」
「別にいいんじゃない? ユースタス君は強いから、あちこちで喧嘩売られているし…止めてたらキリがないよ」
「へェ…そうなのか」
(悪い人には見えなかったけどな…)
真鈴はそう思いつつ、ミシュアとの世間話をお昼休み中ずっとしていたのだった。
ちなみに、キッドが喧嘩する場所を変えてくれたのか、彼と別れた後、喧騒が聞こえなくなった。