第7章 六章「桜舞う樹の下でも、いつもどおり」
「えーっと…あ、そうそう。この間さ、仕事行く前に忘れ物に気付いて家に戻ったのね。で、泉なにしてるかなー?と思って泉の部屋を覗いたら、泉がお嬢さん、僕と踊りませんか?って鏡の前でかっこつけてた」
「おーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!とんだ飛び火だよ!!それ私の恥ずかしい話じゃん!!!」
「……泉……」
「やめて!見ないで!!」
そうだ、あの事口止めするの忘れてたんだ…畜生。
盛り上がりも絶頂に達してきた時だ。
突然、声をかけられた。
「あれー!泉君じゃん!」
「あ、新田さん」
「知り合い?」
「あぁ、スーパーで会った人」
「なになに?お花見?」
「そう、友達と」
「へー!なんかイケメンっぽい人揃ってるねぇ」
「新田さんはなにしてるの?」
「私は近くまで散歩に来ただけ!じゃ、またね。お花見楽しんでねー!」
「ありがとう」
みんなも一応会釈をする。新田さんは疾風の如くあっという間に帰っていった。
「泉君って事は、ちゃんと男だって思ってるんだな」
「当たり前。ちゃんと男としての生活してますよ」
「そろそろ冷えてきたし、帰る?」
「待った!!」
「なに?岡田」
「最後にもっかいだけやらへん?俺だけ王様になってへんー…」
「仕方ないなぁ。最後だよ?」
私が握る割り箸を取る。すると…
「神様ありがとーーー!!」
引きの強い男、岡田准一。
「王様の命令やでぇ?」
キラリ、と准君の目が光ったので、私たちは生唾をゴクリと飲み込んだ。
「2番、王様に向かって真剣に愛してると言う」
「うげ…」
「まさか泉か!?」
「…うん」
「却下!ぜってぇ却下!」
「俺も言われてない!」
「これは王様の命令やでぇー」
その一言に、みんながう…と口を噤む。
私は意を決し、みんなが見ている前で、准君の前に座り、真っ直ぐ目を見てこう言った。
「准君……愛してる」
「俺もやぁぁぁ!!!」
「ぎゃぁぁぁ押し倒すな馬鹿!ちゅーはやめろぉぉ!!」
酒が入ってかなりおかしくなっている准君が私を押し倒し、顔中にキスをしてくるのを、ほかのメンバーと私は必死に止めたのだった。