• テキストサイズ

ぶいろく一家

第4章 三章「傍目から見たら兄弟的な。(カミセン編)」


私がソファに寝転んで雑誌を読んでいると、上に何か重いものが乗った。
どうせまた健ちゃんだろうと無視をしていると、耳に息を吹きかけられた。
舌打ちをしながら振り向く。

「健ちゃんっ!…あれ!?准君!?」
「もー。全く新鮮な反応やないからつまらんー」
「だっていつも乗ってくるの健ちゃんだから…っ!てか重いー」
「何読んでるん?」
「んー?旅行雑誌」
「ふーん…あ、ここええな」

重いっつってんのに准君は構わず私の上に乗ったままで、一緒に雑誌を読んでいた。特に旅行を計画しているわけではないが、なんとなく買ったものだ。
でも読んでいると旅行に行きたくなってくる。
日帰りで行けるスポットなどの特集のページに移ると、准君がある記事を指差した。

「ん、ここ?」
「そ。アスレチックやって」
「なんか体思い切り動かせそうで楽しそうだねー」
「ほな一緒に行く?ほんな遠い場所でもなさそうやし」
「うん、行こ行こー!」

というわけで、あっという間に准君とのデートが決まった。その後、私の上に乗っている准君を発見したイノッチが、ばーーんっと准君を床に叩きつけた。

「は、激しいわ…イノッチ…」
「次は俺が乗るうー」
「定員オーバーです」
「えぇ!?一人も乗ってないけども!」
「そもそも乗るなよ!なんだ流行ってんのか!!」

翌週、准君は忙しいスケジュールを調整して、時間を作ってくれた。
車に乗ると、准君がふふ、と笑った。

「ん?」
「いや、泉を車に乗せる日が来たのが嬉しいだけやで」
「お、おう」
「初乗り一万円でーす」
「まさかの有料!」

そんな風に笑いながら、准君はゆるやかに車を発進させた。
准君はV6の中では割とクールだと思う。いや、まぁ毎日一緒にいるとそうじゃない部分もかなりの確率で目撃するが。例えば…

「お、泉掃除してん?手伝おか?」
「あっ!准君!そこワックスで滑るから気をつけ…」

ズザーッ
勢いよく転び滑る准君。

「…てね、今度から」
「もっと早よ言って欲しかったわ…」

あれは今思い出しても面白い。
私が思い出し笑いをすると、准君は不思議そうにこちらを見ていた。

「なんや、二人きりって久しぶりやな」
「そうだねぇ」
「緊張しとる?」
「いや、全く」
「…少しはして欲しいわ」
/ 75ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp