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ぶいろく一家

第3章 二章「傍目は男同士でお出かけです(トニセン編)」


ある日の朝、イノッチと二人で朝食を取っていると、イノッチがニコニコしながら、ポケットからあるものを取り出した。

「じゃじゃんっ!泉、これはなんでしょう!」
「紙!」
「え、あ、ま、まぁ物質的にはそうなんだけどね…うん」
「冗談だよ。なに?遊園地のチケット?」
「そうそう!今日予定なかったら、これから行かない!?」

大変嬉しそうに言うので、私はつい笑みを零しながらも、チケットを一枚イノッチの手から抜き取り、「いいよ」と頷いた。
イノッチの顔が輝き、わーいわーいと喜ぶ。

「遊園地なんて初めてだなぁ」
「え!本当?」
「うん。そういう所一緒に行く友達とかいないし」
「……」
「可哀想なものを見る目をやめようか」

実際、今現在友人と呼べるのはこのV6だけで、他に仲のいい同性の友人などは特にいない。
それを寂しく思った事はそんなになかった。それが私の選んだ道だからだ。下手に友人を作り、その関係が崩れたら…マイナス思考が働くとそれはどんどん悪化していく。
だから、今回の遊園地は本当に楽しみだ。

その後、朝食に使った食器などを二人で片付けると、準備をして、イノッチの運転する車に乗り込んだ。

「ではっ!」
「「レッツゴー!」」

二人声を揃えて、遊園地へ向かう。
車の中ではV6の曲が流れているが…

「あれ?この曲初めて聴く」
「これ実は今度の新曲のデモなんだ。ね、どうかな?」

それは少し切ないバラードで、最初のギターソロや、メンバーの歌いわけも合っている。曲自体も方にはまりすぎていないところがいい。
そんなような事を伝えると、イノッチは嬉しそうに、「でしょ?自信作!」と得意げに言った。

車内は賑やかで、イノッチと一緒だと、なんだか気兼ねしなくてもいい雰囲気が好きだ。
色々話している内に、件の遊園地へ到着した。

「おおー!凄い!遊園地だ!」
「あはは。そりゃ遊園地だもん」

チケットを受付の人に渡し、園内に入るとたくさんの乗り物が私達を待っていた。

「よーし、今日は遊びまくろう!」
「おうっ!」
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