第2章 一章「朝の日課はウィッグを被る事です」
「健ちゃん…?」
「俺嬉しかったのになぁ…泉のファーストキスの相手だと思って。でも剛に先を越されてたなんてさー。だから…ね?」
何が、ね?なのか全く理解は出来ないが、とりあえずなんでこいつは上に乗っかってきたんだ。
好きなのか、人の上に乗るの。
「俺めっちゃ興奮してるよ?今…」
「おーーーっと!!!!今全てを把握した!!!降りろ変態っ!!」
「えー、いいじゃーん」
「いいことあるか馬鹿っ!キスはいいけど、それはだめなの!」
「俺も男ですし」
「知るか!!」
ソファで揉めあっていると、服が乱れる。男装の時はもちろんブラジャーはしていないが、軽くサラシを巻いている。
「おー。なんかかっこいい!サラシ!」
「お前らが男装しろって言わなければ一生する機会のなかったもんだよ!!」
「解いていーい?」
「よくねぇっつってんだろ!!」
「あんまり暴れないでよって…」
「「いたぁっ!」」
私と健ちゃんの声が二重に響いた。どんっと音を立てると、二人して豪快にソファから落ちてしまったのである。
あまりのカッコ悪さに、私と健ちゃんは先ほどのやりとりも忘れ、はははっ、と笑い合った。
「さて、今日は一緒に夕飯作る?」
「うんっ!」
こうして、私達は服を整えると、買い物に出たのだった。
第一章 完