HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第13章 ほっとけない症候群《山口 忠》
彼女の怪我の痛みも大分落ち着いたようで、ゆっくり帰ることにした。
ちゃんが持っていた分の荷物も持って、歩き出す。
「あ…山口くん。荷物私にも持たせて?」
「イイから、ちゃんは俺の制服の裾持って。…心配だからさ」
彼女の手を裾に導く。
「ね?」
「…うん」
駅前の人通りも少しは落ち着いて、歩きやすくなった。
一言二言、会話をするものの、イマイチ先程々に会話は弾まない。
沈黙が続く。
「…今日はほんとありがと、山口くん。」
彼女が切り出す。
「山口くんは…凄く頼もしいよ。私の事直ぐ見つけてくれて、手当もしてくれた。…カッコいいよ」
「ちゃん…。」
細い彼女の体をそっと抱きしめる。
「俺、ちゃんが好きだよ、もっと頼もしい男になるから…俺の彼女になってくれる?」
彼女はそっと、俺の腰に手を回す。
俺は、バレーも恋も、もっと頼もしい男になるよ。