HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第12章 俺だけの《二口 堅治》
放課後、体育館。今日も伊達工バレー部が練習に勤しんでいる。誰もが全国を目指して大声を上げて取り組む。
「ワンチ!」
「カバー、カバー!」
「おい!ちゃんと止まってブロック飛べよ!」
伊達工バレー部真主将の二口堅治は後輩指導に奔走する。
「いいかー、せーのっ!」
三枚ブロックで同時に飛ぶと強烈なスパイクが見事二口によって止められ、ボールは地面に叩きつけられた。
ヨッシャ、と思ったのも束の間、左手に違和感を抱いた。
たいしたことはない、と気にしないでいると次第にズキズキと痛み出した。
くそ、今抜けるわけにいかないだろ…。
仮にも主将の俺が練習中に戦線離脱なんて以ての外だ。
「…二口、手、怪我してる。保健室行ってこい」
隣でブロックしている青根に気づかれた。
「いいって、大したことねぇし」
「最近の二口は、焦ってる…。責任抱え込むのも程々にしろよ、とにかく治療して来い」
「…分かった。悪りいな、すぐ戻る」
青根の言う通りだ。焦っていい事なんてない。
とにかくテーピングだけでもして来るか。