HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第10章 その言葉は胸に留めて《赤葦 京治》
「、ここ、この式間違ってる。その式じゃなくて、こっち使って解いてみて」
えー、と頬を膨らませて不満を漏らしながらも、直ぐにテキストに向かうは俺の家の向かいに住む年下の幼馴染だ。
「京治ー、これであってる?」
「ん、正解。続きもやってみな?」
が問題を解く間、手持ち無沙汰だった右手でペン回しをしていた。そのペンで彼女のノートに赤い丸を付ける。
はーい、と答えるは現在中3の受験生である。俺の通う梟谷を志望しているのだというに、俺は部活のない日には家庭教師をしている。
最初はどうしたものかと思った成績も、最近は調子がいい。このままなら合格も見えてきそうだ。
「京治、ちょっと休憩しようよ。なんか飲み物持って来るね」
「そうするか」
ちょっと待っててね、と部屋を出て行く。階段を駆け下りる音が聞こえた。
ふぅ、と一息つく赤葦。
いくら幼馴染と雖も、年頃の男女が2人きりで部屋にいることなどよろしくは無い。…ましてや一方が恋心を抱いているとしたら、尚更だ。