HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第9章 真っ赤な恋の色《夜久 衛輔》
眠い目を擦りながら今日も朝早い電車で学校へと向かう。特に何の予定があるわけではない。部活の朝練でもなければ、日直でもない。
‥ただ、朝の電車で出会う彼に一目会いたいだけ。
今日も彼に会いたい。真っ赤なジャージに身を包んだ彼に。
彼を初めて見たのは肌寒くなってきた冬の始めだった。ほんの気まぐれでいつもより早い電車に乗ると、真っ赤なジャージの彼に出会った。
ふと気になって、視界の端に留めていると友人と思わしき人に、ヤク、と呼ばれていた。
ヤクさんは、男子高校生にしては少し背が小さくて、友人と話している時に時折見せる笑顔はとても可愛い人だった。
ジャージの背中に書かれた英語のロゴから、ヤクさんは音駒高校の生徒さんだと分かってて、最寄り駅は私と同じ。
いつか、話してみたいな。そう思ってかれこれ数ヶ月同じ電車に乗り続けているのだ。
そして今日も、彼の乗っているであろう車両のドアが開く。