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HQ‼︎ Language of love《短編集》R18

第5章 春に焦がれて《澤村 大地》


問1「 tan5/12πの値を求めよ」

たった一文の問いにあーでもない、こーでもない、と思考を巡らせること既に30分。時計は下校時刻を示そうとしており、私も続きは家で、と帰り支度をし始める。

「、今帰り?」
教室の暖房と電気を消してドアを出ると、薄暗い廊下で予想もしていなかった人物の出現に驚いた。
「だっ、大地くんかー、驚いた。今帰るとこだよー。部活は?もう終わったんだ」

見事春高出場を果たした烏野バレー部のキャプテンの大地くんは、県内の大学に推薦で進学が決まっている。引退した今もよくバレー部の練習に顔を出していると聞いた。
「じゃあ、送ってく。帰ろう」
そう言って私の鞄をひょい、と持って歩き出した。
「テキスト入ってるから、重いしいいってば」
「ー、運動部なめるなよ。これくらい余裕だって」
目尻にシワを寄せて笑う顔、さりげない優しさが大地くんのいい所なんだよね。
「ごめんごめん、有難く持っていただきます。大地くんの紳士なとこ、皆いいなって言ってたよ」

教室では目立つタイプではないけれど、仕事はきちんとこなして、皆に優しいし、先生にも信頼されてる。
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