HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第31章 鈍感王子さま《岩泉 一》(kayさまリク)
こんなこと言いたくなかったのに、口からどんどん言葉が漏れて行く。岩ちゃんに似合うような清純でピュアな女の子でいたかったのに。こんなことを考えているだなんて、どう思われるのかな‥。
目からは自然と涙が溢れてきた。
こんな道端で泣くなんて、益々岩ちゃんを困らせるだけなのに‥。
「‥そんな事で泣くな」
岩ちゃんはそっと、ぎゅっと、力強く私をセーターに顔ごと埋めた。
「俺の方が、ずっとと、そういうことしたいと思ってたんだ。‥お前に嫌われたくなくて、勇気がなくて、お前の理想になりたかったから。自分押し殺して必死で取り繕ってた」
彼の、ほんのり汗の香りに包まれながら、彼の言葉を受け止めた。
「岩ちゃん‥」
「もう限界」
ぐっ、と体が引き離されて、私の視界は彼の大きな手によって塞がれた。
「‥こっち見るなよ」
二人の唇が、重なって‥体温が、私の涙のしょっぱい味が伝わった。
「‥岩ちゃん、顔真っ赤」
「うるせぇ、もな。目、腫れてんぞ」
「いいもん‥」
結局、岩ちゃんからしてもらったキスだけど、今度は私からしてみせるよ。
おしまい