HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第31章 鈍感王子さま《岩泉 一》(kayさまリク)
時は夕暮れ。私の影がどんどん長くなって、この影なら彼よりも大きいのではないかと錯覚してしまうほど。
「岩ちゃん、まだかなぁ‥」
私は今、人通りの少なくなってきた校門横で、同じクラスの彼、岩泉一が部活を終えて帰るのを待っている。
「わっ、ちゃん!ビックリした??」
頭上を自由に飛んで行く烏たちを眺めていると、背後から突然両肩を触れられた。
びくりとして、振り返るとそこには彼の幼馴染であり、私も何度かお話をしたことがあった彼がニコニコと笑ってたっていた。
「なんだぁ、及川くんか。‥あれ、岩ちゃんは?」
いつも一緒にいるイメージだったから、及川くんの背後を覗いてみても、そこに彼の姿はなかった。
「残念でしたぁ!岩ちゃんは教室に忘れ物だってさ。ちゃんがせっかく待っててくれてるのにね、なんて男だ」
「ううん、今日は私が勝手に待ってるだけなの。‥ねぇ及川くん」
「ん?どうしたのちゃん。及川さんが聞いてあげようねー」