第10章 main
「雲雀、元気でな…。」
「もうおじいちゃん!遠くへ行くわけじゃあるまいし!」
私が一番隊に来てから一年…総隊長に代理の期限を告げられてから半年が経った頃、四席の人が復帰し、私は更なる向上のため檜佐木の勧めで九番隊の東仙要に指導をしてもらう事になった。
丁度その時に八番隊から移隊願いが来ていたので引き受けて、八番隊として生活を送っている。
「春水さん、書類ここに置いておきますね。」
「お、ありがとう。この後暇?」
「んー…一応予定があるのですが、その後は暇です。」
「じゃあ雲雀ちゃんが戻ってきたらご飯でも食べに行こうか。」
「是非ともお願いします!」
「はーい。」
私はこれから八番隊隊舎から出て九番隊隊舎へ向かう。そして東仙の下で剣術や戦い方を教わるのだ。
(最初に指導してもらう事になった時は、なんだかよくわからないこと言ってるなって思ってたけど、よくよく考えてみたら確かにそうかも。)
初めて会った時に言われた、
「自分の握る剣に怯えぬ者に剣を握る資格は無い」
という言葉が意味不明で、私はこの先この人に指導してもらって大丈夫なのか不安だった。
けれど距離が縮まって東仙の事を簡単だが理解できるようになって、私は今まで考えもしなかった『正義』について色々と意見を持つようになった。
しかも東仙とはその正義の話でよく盛り上がる。
(要さんって結構変わり者だよね。)
そんな事を思いながら九番隊の門をくぐった。