第9章 wings
「お主がここに来る時に伝えた事を覚えているか?」
総隊長が真剣な声で話し始め、私は久々に身を引き締めた。
「はい。」
「この前四席から連絡があってな。そろそろ復帰するとのことじゃった。」
「…てことは、私は移動ですか?」
(もう一番隊の四席でいられなくなるんだ…寂しいな。)
一番隊に来てからというもの、私は思い出が沢山出来た。
一つ一つ挙げていくとキリがない程…。
なんだか泣きそうになった私を見た総隊長の眉がハの字に曲がり、慌てて言葉を探し始める。
「今までは、代理の手続きが大変で、受け付けてはいなかったのじゃが、推薦をしてもらうか?」
「私がですか?…できるならお願いしたいですけど…。」
(離れたくないよ…。)
しどろもどろに返した私の言葉に総隊長が頷く。
「おそらくじゃが、まだ時間はあると思うからの。ゆっくり自分で選ぶと良い。」
優しい総隊長の言葉に危うく涙が零れそうになるのを急いで袖で拭き取る。
代理だと知って入ったとしても、やっぱりその時が来てしまうと悲しいものなんだな…と感じた。
(泣いてないで最後まで頑張ろう!死神生活が終わる訳じゃないんだから!)
そうして私は一番隊を去るまで一生懸命働こうと決意した。