第8章 dramatically
私の机に置かれた封筒を手に取る。
中から紙を取り出して広げると、「隊首室にて待つ」と達筆で書かれた字が目に入った。
(え…果たし状じゃないよね?)
隊首室に呼び出して喧嘩なんかできるわけないだろ。
と不安になる自分に言い聞かせながら隊首室へ足を運んだ。
相変わらず私の存在に気付く人は居なくて、
誰か助けて!と心の中で叫ぶも、自分が惨めになるだけであった。
(二度目の隊首室…フゥ…。)
「一番隊四席、瀬越雲雀です!」
「…入って良いぞ。」
この声は総隊長だ。
そう思うとさっきまで緊張してぎこちなかった体が楽になった。
「失礼します。」
開いた大きな扉を抜けて真っ直ぐ総隊長へ向かって歩く。
相変わらず杖をついて髭をたくわえて、神々しさを覚えるほどの迫力にふたたび緊張が戻っくる。
「あ、あの…手紙をくださったのは総隊長なんですよね?」
「そうじゃ。お主に話があってな。」
どうか悪い方の話じゃありませんように…と祈った。
怖くてビクビクしながら総隊長の言葉を待つ。
「…儂の下で修行をする気はないか?」
「しゅ、修行…っ?」
「お主がいない間、京楽が儂のところに来てな。
どうにも霊圧のコントロールができんようだと話しておった。」
「良いん、ですか?総隊長はお忙しくないのですか?」
「都合が悪ければこんな事を提案しておらん。」
(これは…チャンスだ!素直に、素直に!)
「では、よろしくお願いします!」
私の返事に満足げに目を細めて笑った気がした。
こうして、「早速…」と、私と総隊長の修行は始まった。