第2章 unhappy
「上からで申し訳ありませんが、公私混同なさらない方がよろしいかと。」
「っ……すまなかった。」
雲雀の有無をも言わせない威圧感に冷や汗が額を伝う。
威厳を感じさせる雰囲気に耐え切れず日番谷がゴクリと生唾を飲み込んだ。
言葉を発しなくなった日番谷を横目に総隊長が続ける。
「他に言うことは無いな?」
「はい。」
総隊長の問いかけに答えたところで隊首会はお開きとなり、
私は外に出て瞬歩で零番隊の隊舎へ向かった。
とにかくこの場所から脱け出したかった。
隊長達が揃っている場所から。
まだ一番隊隊舎に残っている隊長たちは雲雀の話をし始める。
特に雲雀を可愛がっていた京楽にとって、この会は相当苦痛だったようで
「雲雀ちゃん、変わったねぇ……。」
よく談笑していた卯ノ花も
「ええ…あんなに明るかったのに…」
雲雀に心を開いていた朽木も
「戻ってくれはせぬのか…?」
何度も勝負を挑み、剣を交えてきた更木も
「あいつが簡単に戻るかよ。ただでさえ頑固なのによぉ。」
いつも仲良くしていた砕蜂も
「あの方の心はまだ穢れていない!」
毎日の様に雲雀の事を想い続けた市丸も
「ボクやてそう思いたいけどなぁ…。」
雲雀に興味を持ち、言い寄っていた藍染も
「諦めるのが早すぎないか?」
同じ考えで意気投合していた東仙も
「何としてでも救いたいのだが…」
一番最初に素顔を雲雀に見せた狛村も
「方法さえ見つけられれば…」
しょっちゅう研究の話題を持ち込んでいた涅も
「宴会でも開いたらどうかネ。」
甘党仲間だった浮竹も
「宴会って…そんな軽々しい事じゃないでしょ…」
雲雀に好意を寄せていた日番谷も
「俺はあいつのために何かできるのか…?」
事あるごとに孫娘だと解りきった嘘をついてきた山本総隊長も
「儂も力になれることは何もないのぅ…」
それぞれ形は違えども、皆雲雀を心配していた。