第2章 unhappy
牢獄から解放された理由は目の前の一番隊隊舎に入ればわかるのだろうか。
真実を知ることに恐怖は無かった。
「ただいま参りました。」
「入れ。」
奥から聞こえる山本総隊長の声。
付添人が私の拘束されていた腕を解き、扉が開くと私は躊躇無く歩みを進めた。
隊長たちは雲雀の姿を見るなり苦い顔をし、息を呑む。
誰もが動揺を隠しきれずに目を見開く。
死覇装に隠れていない部位だけでも数え切れないほどの痛々しい傷
痩せ細った身体
生気の宿らない虚ろな目
40年間、牢獄で何があったのかを物語っていた。
隊長たちが言葉を失っている中、沈黙の空気を総隊長が破る
「昨晩、中央四十六室から零番隊を再結成するよう命令が下った。
しかし零番隊となれば強力な隊長が必要じゃ。…もう言わなくても良いな?」
40年前に解散された零番隊の突然の再結成。
(なぜ今になって……)
その隊長を務めていた過去の呪縛からやっと解放されるのかと思っていたのに。
再び蘇る恐怖を感じても雲雀の美しい顔が歪められる事は無かった。
「四十六室からの命令なのですね。」
「そうじゃ。」
「承知致しました。隊員は決まっておられるのですか?」
「まだ報告されておらぬ。」
「そうですか。」
話が終盤に向かう頃、日番谷が抗議の声を荒らげた。
「総隊長!雲雀にこれ以上の重荷は課せられません!」
「そやけど、四十六室の命令なんやったらどうにもできへんで?」
「市丸はいいのかよ!?あいつがまた辛い思いをしても!」
過去を知っている周りの隊長たちが一斉に厳しい面持ちへと変わった。
「黙れ!儂等が足掻いたところで変えられるものは何も無いのじゃ!」
「っ………。」
「日番谷隊長。」
「!?…な、何だよお前…‘隊長’だなんて…」