第24章 precious
「ふぅ。気づいたら夕方って、結構衝撃的だな。」
研究所をあちこち冒険しているうちにかなり時間が経って、阿近が私を見送りにと外まで付いてきてくれた。
阿近が紫色に染まる空を見上げて笑う。
「はぁ〜…もうちょっと実験とかしたかったな…。」
「明日も来たらどうだ?俺も明日は一緒に手伝いできるぜ。」
「阿近さんと実験なんて懐かしいですね。楽しみです!」
「俺もお前と一緒に居るの楽しいからな。腕が鳴るな。」
私は一瞬冗談を言っているのかと思った。
あまりにも自然で、嘘を言っているようには見えなかったから、私は少し照れてしまった。
「そ、そんな…告白みたいな…。」
「え?何か言ったか?」
「何も言ってません!じゃあ、帰りますね!」
「おう。またな。」
早歩きで熱くなった顔を手で扇ぎながら、私は逃げるように去った。
(もう!いきなり何言い出すかと思って勝手に照れて恥ずかしい!)
でも、言われて嫌な気にはならなかった。
不思議な気持ち。嬉しい。どこか複雑。
わけがわからなくなって、私はとにかく何も考えるなと言い聞かせ、隊舎へ急いだ。
「明日、楽しみだな…。阿近さん、私のことどう思ってるんだろう。」
乙女心というやつを自分でも理解しきれていない私は、ボーッとしながら夜を過ごした。