第21章 please
「彩李…どうして私にあなたが犯人だって気付かせたの?」
証拠捏造の記録もそうだったが…今まで彩李が起こした事件は、完全犯罪ではなかった。
「雲雀なら…あ、たしを…」
彩李は私の目を見て…そっと瞼を閉じた。
その瞬間にも光る涙がこぼれ落ちた。
「彩李…?彩李っ!」
彩李の記憶を見ていた間の時間は、現実世界では一秒にも満たなかったらしく、結界を解いた死神達が私達の元に駆け寄ってくる。
私は不完全な台詞を残して眠りについた彩李を強く抱きしめた。
「ごめんっ…ごめんね…っ!」
枯れたと思っていた涙腺から涙が流れ出し、霊子となって消えて行く彩李を抱きしめ続けた。
「隊長…。」
隊長達、零番隊が先頭に立って私を取り囲み、彩李が完全に消えても地面にへばりついた私を、楓我が脇の下に腕を通して立ち上がらせる。
私は涙を袖で拭い、正面に立つ総隊長を見た。
「…皆さんにご迷惑をかけてしまってごめんなさい…。」
「なぜ隊長が謝って…!」
声を漏らした慶と死神達が見たのは、ボロボロの姿で深く頭を下げる、零番隊の隊長の姿だった。