第20章 memorial
私は左手を前に突き出した。
そして、剣の先から青い光線を放つ。
すかさず左に避けた彩李に突っ込み、斬りかかった私の剣と閉じた扇子が交わる。空いた左の剣の切先を彩李の身体に向け、もう一度光線を放った。
「っ!」
咄嗟に私の右手を弾き、再び左に逃げた彩李だが、右脇腹を貫通されて体制を崩した。
そして…右の剣で彩李の左肩から胸部までを斬りつけた。
手が真っ赤に塗れる程溢れた血が、戦いの終わりを告げた。
私は卍解と夔竜の力を解き、仰向けに倒れた彩李の横に膝をついた。
「…あたしの、負けね…。」
力なく遠くを見つめる彩李が、薄ら笑いを零した。
「彩李、あなたの本心を聞かせて欲しい。」
「…雲雀は…どうして、あたしに構うの…。」
「言ったでしょ。あなたは私の幼馴染みだって。」
「そっ…じゃあ、その幼馴染みの、ために、力を使っ、てくれる…?」
私をゆっくりと見つめた彩李が、語り始めた。
「あた、し…自分がね、わからなかった。」
すると悔しそうに顔を歪めた彩李の目から、涙が溢れた。