第17章 power
「私は天命が尽きるまで決して死にません。
志半ばで亡くなっていった仲間達の代わりに最後まで生きます。」
生きると強く言い切った私の覚悟に隊長たちは目を瞑った。
中には私にひどいことをしてしまったと、後悔し恐れている者も。
「…今回の件は私に責任があります。私が王族だからといって、私を陥れたと自分を責めないでください。」
私は総隊長を見つめた。
「…総隊長。私はすべての力を開放して戦うつもりです。
…どうかこの瀞霊廷を、皆さんを守ってください。」
私からの最後のお願いだった。
戦いの最中に何かあっては…私は気が気でないはずだ。
大好きなこの場所を、心が帰るこの大事な私の家族を守ってほしい。
「お願い……おじいちゃん…。」
強弱の無い声だった。
でも、総隊長にははっきりと、雲雀の苦しい心の嘆きが聴こえていた。
「雲雀…」
苦しげに総隊長が唸る。
「…雲雀ちゃんは、これからどうしますの?」
市丸が珍しく言い改まって私に尋ねる。
「私が王族であることは忘れて、いつもと同じように接して下さい。私は今から敵の所在地を調べます。おそらく、もうじき襲撃が始まるでしょう。きっと青い化け物が大量に襲ってくるはずです。」
くるりと羽織を翻し、私は扉までの道を歩いた。
(ここを出れば…もう…)
これが、きっと最後の戦いになる。
生きるか死ぬかもわからない、文字通り命懸けの死闘。
涙腺が働くことはなかったが、私は一歩一歩透明な涙を落として一番隊から外へ出た。