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奈落の底から【BLEACH】

第14章 sign


慈しむような市丸の目線を注がれ、私も言葉が見つからず黙り込む。お互いただ見つめ合い、口を開いては閉じてを繰り返し、言葉が無いせいで完全に空気が凍てつく。

とてつもなく長く感じた沈黙の時間を破り、ようやく市丸が掠れた声を絞り出した。

「ボクな…」

「あらお二人とも、久しぶりですね。」

市丸が微かに発した声は本棚の角から現れた卯ノ花の声にかき消され、私達は二人して卯ノ花の方を見やる。

「卯ノ花隊長お久しぶりです。市丸隊長、私はこれで。」

「あ…。」

「雲雀さんもう行ってしまうのですか…お話したかったのですが、さようなら。」

「卯ノ花隊長もさようなら。」

私は市丸に取ってもらった本を胸に抱えて図書館を出る。
市丸が何か言いかけてたことなんて最早頭の蚊帳の外。

(本当に…何で隊長にばかり出くわすの…頭痛い。)

自分を見捨てた人達は何事も無かったように接してくるし、私はその人達のためにまた力を貸している。だから仕事以外では会いたくないのだ。
疲れた体で隊首室に戻り、早速本の中身を読んでみる。

内容は…題名から想像できるのとほぼ変わらなかったが、ある一文に私は目をつけた。
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