第12章 star
「瀬越さん…僕の無力を許してください…。」
無間までの付き添いを島谷にしてもらっている最中、苦々しい顔で私に謝罪をする。
「気にしなくて構いません。誰もあなたを恨んではいません。」
「瀬越さんは、悔しくないのですか?」
「解りません。」
「…。」
暗い地下、二人の足音が静寂に響く。
私はこれから、この太陽のない世界で過ごさなければならない。
ここを出たら必ず私が真相を暴く。その気持ちだけが私の中に残っていた。
「…艶斬は何処にあるのですか?」
「それにはお答えできません。ですが、あなたが釈放された時には返されるはずです。」
島谷は私の右手に付けられた腕輪を取り外し、私の前から消えた。
一人になった瞬間、私はこの何も無い暗闇の中で永遠にも思える月日に、目を閉じた…。
時は流れ、期間のたった250分の1である40年で変化が起きた。二度と見れないと思っていた光が、無間に差し込んだ。それは松明の淡い光だったが、私には眩しすぎる強さだった。
誰かが私を呼ぶ。
「瀬越さん。あなたを釈放することになりました。」
その声に導かれるように、私の目は開かれた…。