希望を賭けた戦い The hopefight--.
第15章 もう一つの
「やだ……っ、かな、たが………し………しんじゃ……」
たどたどしい口調でいまいち掴めなかった。
壁に手をつき、膝から崩れていく。
「せ、千乃!」
心配してカンナが手を貸そうとする。
「私も馬鹿だけど……彼方も馬鹿だっ………一人で抱え込むんじゃねぇよ………ッ!!」
力無く、壁にもたれながら立ち上がると、ちょうど開けられたドアから千乃は出ていく。
すれちがうように、鷹比呂とハチマキをした女が入って来た。
「鷹比呂お前何してたんだよ!」
「すまん。この子呼んできた。もう大丈夫だ」
「ちょっと熱計りますね」
慣れた手つきで体温計を彼方の脇にさしこむ。
15秒くらいすると完了の合図がなった。
「………高熱、とだけ言っておきます」
「……」
この場にいた皆が何とも言えない気持ちになる。
「少し危ない状況ですね。まだ意識はあるみたいですし、薬飲ませますね。みなさん一回外に出てもらえますか?」
奏美の指示で夕顔団員の皆がぞろぞろ動きだし、出ていった。